【ネタバレあり】スクールアイドルミュージカル感想

こんにちは、チャイフ(@chaif123)です。

このたび、スクールアイドルミュージカルを観劇して来ました。めちゃめちゃ良かったです。

僕が観劇したのはほぼ最終日だったのですが、いい評判しか聞かなかったので期待値はそこそこ上がっていましたが、期待を超えて来ましたね。

ということでめちゃめちゃ「ネタバレあり」で感想を書いていきます。すでに公演は終了していますが、ネタバレを避けたい方はここでブラウザバックをお願いします

なお、ただ感想を書きたいだけなので「ラブライブ!とは」「スクールアイドルミュージカルとは」という話は割愛します。

それでは!

会場のようす

まず座席に着席したところで感じたこととして、客層に男性の割合が多かったことです。男性:女性=8:2くらいだった気がします。これ以外にも舞台演劇は何度か観劇したことはあるのですが、どの公演も男性:女性=1:9くらいのバランスだったので、少し意外でした。

逆に普段参加しているラブライブ!のライブイベントでの男女比率はそのくらいなのですが、こと「ミュージカル」という媒体になった際に、ある程度そのバランスは中和されて5:5くらいになるのかな、とも思っていたのですが、少なくとも僕が観劇した回ではさほど変わらずでしたね。

そう考えると、「純粋な演劇ファンが観に来た」というよりは、「ラブライブコンテンツの既存ファンが、今回のミュージカルを観に来た」という傾向が強そうです。まぁ、情報の入手経路を考えると、そりゃそうですよね。

 

 

 

 

 

 

※ 以降、ミュージカルの内容に触れていきます。繰り返しになりますが、ネタバレを避けたい方はここでブラウザバックをお願いします

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台装置がすごい

舞台装置がすごかったです。どの舞台でも大道具の仕事っぷりには感心させられますが、今回も例外ではありませんでした。

今回の設定は2つの高校の対立構造だったので2つの高校が登場することは事前情報としてわかっていました。そして、開演前から視界に入っていた校章と学校と階段。これが、もう一方の学校のシーンに切り替わるタイミングで「建物全てがゆっくり回転して、裏側にもう一方の学校が現れる」という仕掛けになっていました。

舞台において、場面転換の表現手段としては照明や音楽や舞台上の上手/下手の使い分けなどさまざまな技法が使われますが、「背景を物理的に丸ごと入れ替える」という大胆な方法が取られ、「おおっ!?」となってしまいました。回転している間はキャストによる歌唱やセリフパートが入るため、もちろん待ちが発生することはありません。

また、回転を途中で止めることによって「舞台袖」を表現したりもしていて、うまいなと思いました。アイディアの勝利ですね。(回転が途中で止まった時に「もしかしてトラブルか」とハラハラしてしまったことはナイショです)

脚本が良すぎる

脚本が良すぎました。公演時間は、前半50分、休憩を挟んで後半50分程度の短い時間だったのですが、いろんな物語が詰まっていました。

主人公は椿咲花女子高校のルリカなのですが、その母親であるマドカ理事長と幼馴染であるユズハ、滝桜女学院のアンズとその母親であるキョウカ理事長とアイドル部部長であるミスズを含めた6人が特に主要キャラの立ち位置として描かれており、ほぼ群像劇です。前半の伏線が後半でどんどん回収されていくのを目の当たりにして、「6人もの思惑・葛藤・悩みが、この時間内でこんなにキレイに回収できるものなのか!?」と驚き、観劇後はスッキリした読後感に似た感覚がありました。

夢を諦めかけてもいたルリカが、ずっとやりたかったスクールアイドルを全力で楽しんでいたりとか。昔は楽しかったはずの歌をいつからか楽しめなくなっていたアンズが、ルリカと出会って楽しさを思い出したりとか。嫉妬心や迷いを乗り越え、ルリカと一緒にスクールアイドルを楽しむユズハの表情とか。アンズに呆れながらも嬉しそうなミスズの表情とか。2人の理事長の「あなたの好きになさい」というセリフが、冷徹さではなく愛情から来るものであると表情から読み取れ、親子の関係性がよくなったことを示すキーワードとなっているとか。さらに意地を張っていた2人の理事長が最後に素直さを見せ、親としてだけでなく個人としても成長を見せたりとか。

あ^〜、いいですね。

また、複雑な思惑・葛藤・悩みがそれだけの短い時間で昇華されるからには、ある種の”ご都合主義”があったという表現もできるのですが、それはミュージカルというシステムが技術的に解決してくれた気がします。会話のみで進行していく演劇であれば、「今この瞬間の感情」というものを盛大に吐露することは、どうしても不自然になってしまい、ほとんどないはずです(例外は局所的に差し込まれる独白シーンくらいのものでしょう)。しかし、ミュージカルならではの歌唱による表現であるからこそ、登場人物の心境の変化がストレートに、かつ自然に”入ってきました”。ラブライブ!シリーズで様々な歌を聴いてきたはずなのですが、歌に乗せて伝えられるメッセージの力強さをこれほどまでに感じたのは初めてでした。

楽曲の歌詞がめちゃくちゃ刺さる

ラブライブ!ミュージカルでは、2時間の間に、実に多くの楽曲が使われています。会話劇の間で使われるミュージカルとしての歌唱と、フォーメーションダンス付きで披露されるアイドルのパフォーマンスとしての歌唱の両方がありました。そしてそのどちら共の歌詞が、めちゃくちゃ刺さりますよね。

個人的に最も印象的だったのが、『夢見る世界』です。同じ楽曲が劇中で2回使われ、かつ違う演者が歌っているのはこの『夢見る世界』だけ(たぶん)です。

1回目はルリカが歌っています。滝桜女学院スクールアイドル部の『きらりひらり舞う桜』のパフォーマンスをテレビで見て「わたしもあんな風になれるかな!?」と興奮しつつも、自分とのギャップを思い「わたしには関係のない世界、」と切なく歌うシーンです。

そして2回目はアンサンブルが歌っています。第2幕でアンズが転校してきたことをきっかけに椿咲花女子高にもスクールアイドル部が発足し、スクールアイドルとして活動を始めるルリカ達5人を見たアンサンブルが歌います。

滝桜女学院スクールアイドル部←ルリカ←アンサンブルと、憧れが伝播している構図になっているのです。ここで同じ曲を使った意味とは、「自分とは関係ないと思っている夢でも、一歩を踏み出せば叶い始める」というメッセージだと考えています。かつては遠い存在を憧れていたルリカも、やりたいと言い続けていたら、叶い始めた。そして、次はアンサンブル(これを見ている観客全員?)もいつかは…というメッセージではないでしょうか。

応援が嬉しいのさ してもされても

こちらはフォーメーションダンス付きで披露される曲で、今日時点で唯一公式から歌詞が公開されている『未完成ドリーム!』の歌詞です。今回の脚本では、ルリカとマドカ、ルリカとユズハ、ルリカとアンズ、アンズとキョウカ、アンズとミスズが、お互いに相手を思いやったり応援をし合っている構図になっていますが、それがこのフレーズに詰まってますよね…!!

そしてさらに、ラブライブ!というコンテンツを追いかける我々ラブライバーに対しても同じことが言える、とも解釈できる気がしました。そうなんです。別に我々ファンが推しを推すのは、何も慈善事業でやってるわけじゃなく、やりたくてやってるんですよね。スクールアイドルに限らずですが、何かを・誰かを応援をする、そしてその応援した相手が喜んでくれたり、チカラを発揮できたり、成功したり、それによって、応援している自分自身も嬉しくなる。そういうことが起きていると思っています。

観劇していた人で、この歌詞が刺さった人は多いんじゃないかと思います。

ラブライブ!シリーズのメッセージがしっかり含まれている

また、これまでのラブライブ!シリーズのコンテンツに込められていたメッセージが、スクールアイドルミュージカルにもしっかり入っていました。

ラブライブ!コンテンツのコアメッセージ(※自己解釈です)
  • 誰でも、いつでも始めていい
  • 好きという気持ちがあれば始めていい
  • 特別な存在じゃなくたって挑戦していい
  • 完璧じゃなくたっていい
  • いま、この瞬間を楽しめ!

これまでのμ’sやAqoursや虹ヶ咲やLiella!のストーリーや楽曲の中に込められていたメッセージが、たった2時間の中にこれでもかと詰め込まれていました。それでいて無理矢理ではなく、1つの作品として完成している。繰り返しになりますが、脚本が良すぎますね。どれだけ練ればこんな脚本ができるんだ…。

ラブライブ!ではなくスクールアイドル

ラブライブ!のコンテンツとして出されてはいますが、表題はあくまでも『スクールアイドルミュージカル』であり、「ラブライブ!」という文字はありません。実際にストーリーの中でも、「学校でアイドルをやる」ということにフォーカスされていて、「ラブライブ!の大会で優勝する」といった要素は出てきません。ここが興味深いです。

滝桜女学院スクールアイドル部は、「芸能コース」というワードも使われていて、活動意義がハッキリしています。一方、椿咲花女子高等学校の方はそこまでの明確なビジョンを描いているわけではなく、強いて言えば「学校存続のため」「入学希望者を増やすため」といったモチベーションです。むしろルリカたち本人は「面白そうだから」という単純な興味・好奇心の方がモチベーションの多くを占めているかもしれません。

ここにも、あるメッセージを解釈できると思っています。それは、「何かを始めるにあたり、必ずしも最初からプロを目指す必要はない」というメッセージです。何かを諦める理由として、「どうせプロになれるわけじゃないし、」というのがあると思います。それに対して、スクールアイドルミュージカルは「でも始めたいんだもん!」と伝えてきます。

再演はないらしいが、続編には期待したい!

今回のスクールアイドルミュージカルに対して、初参加の公演に高い期待値を持って観劇できた人はほとんどいないのではないかと思っています。「ラブライブ!の世界観とミュージカルという形態は相性が良かろう」とは思いつつ、「実際どんなもんなん?」「まぁお手並み拝見といきますか」くらいのスタンスで会場に向かった人が大半なのではないでしょうか。僕も観劇した友人から「めちゃくちゃ良かった」と聞いていたとはいえ、想像できなさすぎて「とりあえず行ってみるか」という感じ。そして、開始1分のキョウカ理事長の歌唱で度肝を抜かれ、その後2時間は圧巻…という感じでしたね。

今回のスクールアイドルミュージカルは、事前に「映像化はしない」と宣言されており、実際、される予定はありません。あくまでも当日現地に足を運んだ人しか体感できないというわけですね。しかし、コンテンツとしてはクローズするわけではなさそうなので、いつの日かもし続編が出た際には、絶対にチケットをゲットしたいですし、もっと色んな人に広めたり誘い合わせて観劇したいなと思います。

それでは。

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チャイフ

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