投資家が「お金」よりも大切にしていること、を読んで

こんにちは、チャイフ(@chaif123)です。

藤野英人さん著「投資家が「お金」よりも大切にしていること」を読みました。とはいえ、この本は投資家が執筆しているというだけで、投資の技術はもちろんのこと、投資の話題自体そもそもあんまり出てきません。

ではどういう内容かというと、一人の投資家には世界がどのように見えているのかが描かれています。お金の話から会社の話、社会の話、生き方の話。投資の話からどこにエネルギーを注ぐかという話へ、至極一般的な内容が書かれています。

自分にはない目線やモノの見方があり、自分の価値観を見直すことができた気がします。その氷山の一角をお見せいたしましょう。

それでは!

日本人の寄付金の額は?

アメリカでは、年間で、成人1人あたり、約13万円のお金を寄附をしているそうです。

日本では、成人1人あたり、いくらのお金を寄附しているでしょうか?

(投資家が「お金」よりも大切にしていること/32ページ)

予想してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は、たったの2500円です。アメリカのおよそ50分の1です。

その代わりと言ってはなんですが、「現金・預貯金」の額は日本が792兆円ととても高く、アメリカは567兆円、ヨーロッパ諸国は200兆円程度です。

要は、日本人の考えでは誰かにお金を渡してしまうくらいなら、自分の懐に抱えておきたいということですね。お金に対する絶対の信頼、逆にいえばお金以外に対する絶対の不信感を感じられます。

この根底にあるのが“清貧の思想”かもしれません。

“清貧の思想”

そもそも”清貧の思想”とはどういったものでしょうか?広辞苑によると、

行いが清らかで私欲がなく、そのために貧しく暮らしていること

となっています。つまり、順番としてはこうです。

  1. 行いが清らかで、理想とする生き方がある
  2. その生き方の実現のために、貧しい暮らしを受け入れている

ここで勘違いしてはいけないのが、”貧しい生き方=素敵”なわけではないです。本書では、その「清くて貧しい」か「汚くて豊か」の、2択かと思われがちな両者のアウフヘーベン(止揚)として、「清豊」を目指すべきだ、と主張されています。

どうやら、“清貧の思想”への解釈を正し、お金を稼いでお金を世に循環させることが重要な気がします。

「世直し」は公的機関がやってくれるもの

みなさんもなんとなく、公のことは国や公務員に任せておけばいい、と思っているのではないでしょうか?

(投資家が「お金」よりも大切にしていること/71ページ)

ひとりの民間人である自分が、自らのお金を投じて進んで社会貢献をしようとは、誰も思わない。

(投資家が「お金」よりも大切にしていること/73ページ)

日本には、「官民公私」という言葉が存在します。公のことは官がして、私のことは民がする、という考え方です。確かに、税金の使い道に文句は言えど、自分からお金を投じられる人は少ない気がします。。。

なぜでしょうか?それは、お金が大好きで、人を信じていないから、でしょうね。「世の中に回したら、自分の手元には返ってこない。自分で稼いだ金だ。自分の金だ。誰にも渡すものか。」そういう発想な気がします。

…本書の初版は2013年であり、この6年間でもかなり社会の雰囲気は変わり、個人で活動をする人が増えてきたようには感じます。とはいえ一方で、それすらも遠巻きに、どこか批判的に見ている人も一定数いることでしょう。

「安く」を求めるとブラック企業が生まれる

一般市民が反省すべき文脈で、「安く」を求めるとブラック企業が生まれる、という話がありました。「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいですが、そんなに遠い話ではありません、想像してみましょう。

  1. 消費者が「安く」を求める
  2. 価格競争が起こる
  3. 企業側が経営努力の一環として、過重労働を強いる(※他には原価を下げる、賃金を下げる、従業員の数を減らすなど)

数年前に、夜行バスの大事故があったことを覚えているでしょうか。まぁまぁニュースになりました。

夜行バスの価格を安くする背景にある、バスの運転手に対する長時間労働が原因です。また、最近はだんだんと見直されていますが、居酒屋の長時間労働や、コンビニの24時間労働なども、消費者の需要に応えるためのものですね。。。

ありがとうはチップ

消費者が過剰サービスを求めていることが根本の原因のようです。そこで筆者の藤野さんが心がけていることが、良い消費者になることだそうです。具体的には、居酒屋やレストランで「ありがとう」を言うようにしているとのこと。

飲食店でバイトをした経験がある人なら共感してもらえると思いますが、「ありがとう」と言ってくれるお客さんは意外と少なく、とても嬉しいものです。

  1. 嬉しい気持ちになる
  2. もっとがんばろう(いいサービスを提供しよう)と思える
  3. いいサービスだと評判になる
  4. 売り上げが上がる

と、いいスパイラルが生まれます。

僕はこれを理想論だとは思いません。居酒屋、レストラン、コンビニなどの店員に対して、「サービスが良かった」という覚えは誰しもあるのではないでしょうか。身近なところから「ありがとう」を言うように心がけていくのは実は大きな効果を生みそうですね。

考えて消費し、モノやサービスを応援する

消費者としてできる行動としては他にもあります。

  1. 考えて消費する
    1. 記録する
    2. 自覚する
    3. 考える
  2. ステキだと思えるモノやサービスに投資する

出費をすべて記録する

考えて消費するために、まずは「お金の使い方に自覚的になること」が第一歩です。そのために、1ヶ月、あるいは1週間でもいいので、出費をすべて記録することです。

僕もスマホに手入力する家計簿1年半続けていますが、お金の使い方に自覚的になれていることをとても実感しています。かつてはコンビニや自販機をよく利用していましたが、明らかに利用回数が減り、代わりに惹かれた店や商品にお金を使うことに集中できるようになりました。

意識してお金を使う

僕は知らなかったのですが、イタリアにはスタバがないそうです。なぜなら、「とりあえずコーヒーが飲めたらいい」ではなく、国民が意識的に自分で店を選んでいるからです。

重要なことは、どんなモノを買うか、どんなサービスを利用するかに意識的になることです。

良くないのは惰性の買い物や衝動買いです。商品が消費者に「とりあえず」で選ばれていると、企業もいいものを作ろうとしなくなりますし、努力しなくなりますね。

心から「欲しい!」と思える商品を買うことが、まわりまわって企業の価値をあげることになります。

「知る」ことから始める

何をやってるかよくわからない仕事や、自分のとは全然違う仕事を批判したくなることはありませんか?僕はありました。今でもちょっとあります。例えば、コンサルやマーケティングは具体的にどういう仕事かわかっていませんし、金融業や投資家は楽して稼いでいるような気がしてしまいます。YoutuberやInstagramerなどは仕事として認めるのに抵抗があります。

しかし、他の会社や他の人の働き方を批判するのは単なる自己正当化で、思考放棄です。知らないままに批判するのではなく、まずはその人や会社のことを知ろうとするのが重要なんですね。

本来の安定とは、成長し、変化すること

投資において、今業績がいい会社に投資するのではなく、有望で、将来的に成長する会社に投資するのが最も安定する方法だそうです。その有望な会社を見極めるのが技術なのでしょう。そしてこれは個人にも置き換えることができます。

しかし、多くの人は変化ではなく「同じことをやり続けることが安定」だと思っています。

私事ですが、この言葉は僕にとって本当に嬉しい言葉でした。なぜなら、僕が転職活動をする際に軸となっていた考え方だからです。あまり浸透していないようなこの考え方が肯定されたような気がしました。

技術の進歩が加速度的に速くなるいまの時代で、ずっと同じことで生きていく方がよほどリスクでしょう。

社会に目を向け、エネルギーを投下する

投資とは「資産を投下する」ことであり、資産とはエネルギーです。藤野さんによるとエネルギーとは、以下の8つからなります。

  • 情熱
  • 行動
  • 時間
  • 回数
  • 知恵
  • 体力
  • お金

要は、私たちは毎日何かに投資しているということですね。あなたがこの記事を読むのに使ってくれた時間も1つの投資ですし、趣味にかける情熱も、友人と過ごす体力も、健康のための行動も全て投資です。先ほどの「ありがとう」ということも1種の投資だと思います。

そしてお金は数あるエネルギーのうちの1つに過ぎないと。だからこそ、お金を抱えて踞るよりも、何にエネルギーを投下するかに目を向けていくのが重要なのだと思います。

それでは〜。

チャイフ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です