こんにちは、チャイフ(@chaif123)です。
プロジェクトマネージャーがいかに大変かを説明する連載記事です。
今回は、ちょっとラフな話題です。“人を転がせる人”はPMに向いているかもしれないって話をします。
ぜひ読んでみてください。
それでは!
Contents
プロジェクトマネージャーとは?
プロジェクトマネージャーとはどんな仕事でしょうか?
細かい所掌範囲や定義は会社によって異なるとは思いますが、共通する要素としては、「納期までに成果物を完成させられるように、プロジェクトをマネジメント(≒管理)する」仕事ではないでしょうか。
そのために、例えばこんな業務が挙げられるでしょう。
- キックオフ
- クライアントの要望から計画の立案
- 全体スケジュールの作成
- 担当メンバーのアサイン
- プロジェクト推進
- マイルストーン管理
- 担当メンバーの進捗管理
- 担当メンバーのモチベーション管理
- プロジェクトのコスト管理
- クライアントへの進捗報告
- 問題発生時の対応
- クロージング
- 納期の調整
- 成果物の取りまとめ
- クライアントへの成果報告
プロジェクトに関わるあらゆることを調整するので、必然的にお客様(クライアント)、プロジェクトメンバー、下請け、社内の上司などあらゆる人とのコミュニケーションが発生します。したがって、情報をまとめる能力・的確に説明する能力・折衝能力・リスクを察知する力・決断力・問題解決力など、様々な適性が存在します。
プロジェクトマネージャーの極意は「人を動かせる」こと
PM(プロジェクトマネージャー)という仕事で最も重要なことは「人を動かせる」こと、「人を動かせる」能力です。
他の記事のおさらいになりますが、PMのミッションは、「お客様に迷惑をかけないこと」であり、「QCDを守ること」です。PMがミッションを達成するためには自分1人では絶対に不可能で、チームメンバーやお客様の協力が必要不可欠です。
あなたのために「人が動く」4つのパターン
「人を動かす」と表現すると、「指示・命令して奴隷のように従わせ、操作する」ような印象を受ける方もいるかもしれませんが、そうではありません。
正確にいうと、それだけではありません。人を動かすパターンには大きく4つあると思っています。”あなた”目線と”相手”目線でそれぞれ列挙するとこんな感じになります。
- 指示・命令・依頼する
- 困っている様子を見せる
- 相手のためになることをする
- あとでお返しをする約束をする
- (あなたに)従う
- (あなたを)助ける
- (あなたに)恩返しをする
- (あなたに)恩を売る
“人を転がせる人”はこれらを駆使して「人を動かして」いる
今回のテーマは、“人を転がせる人”はPMに向いているんじゃないか?という仮説です。
“人を転がせる人”というと、僕の偏見ではホストやホステスなどの水商売をイメージしてしまうのですが、求められるスキルセットはPMに近いと思っています。
「トークだけで相手にお金を貢がせる」って、とんでもなく難しいことだと思いませんか?入店した時点である程度”その気”なのかもしれませんが、とはいえ「その人のためにお金を使う」というアクションを取らせているのはかなりすごいことです。その手段が力づくではない、というところがポイントですね。
さて、PMとして「相手を動かす」 ことを考えた場合、どんなアプローチを取ればいいのか、先ほどの4パターンに沿って考えてみましょう。
指示・命令・依頼する
1つ目が指示・命令・依頼することです。
これは”転がす”から一番遠い概念ですね。笑
しかし、PMとしてプロジェクト管理をするならば「指示・命令・依頼」はベースになる項目です。理由は、「相手に伝える」というコミュニケーション以外のアクションがなくて一番ラクだからですね。
余談ですが、僕は「指示・命令」「依頼」を同じ括りにしました。英語では、「order A to do」「ask A to do」は同じ第4文型です。関係性の違い(チームメンバーかお客様か)や口調の違いなどがあるだけで、「これをやってくれ」というのは同じだからです。
しかし、内容や背景によっては「指示・命令・依頼」だけでは動いてくれない場合も多いです。そこで、次の作戦を考えてみましょう。
困っている様子を見せる
2つ目が困っている様子を見せることです。
これが”転がす”に一番近い概念かもしれません。いわゆる「泣き落とし」というやつです。言語化するならば、相手の「助けてやろう」を引き出すテクニックです。
身近なところでは、不動産や保険などの営業マンはよく使っていると思いますよ。
文面で書くとアホらしくて「今月のノルマが」とかは知ったこっちゃないですが、「明らかに困っている人を放置する」というのは居心地が悪いもので、意外と効果があります。
ただ、使いすぎは禁物です。ずっとこれをやっていると下心が見え見えですし、「頼りないやつだな」と思われ逆に悪印象になることもあります。
「どうしてもここはクリアしたい」という重要な案件だったり、相手がNOと言いつつ付け入る隙がありそうな機微な交渉時にさりげなく見せる…という使い方を意識しましょう。
また、この伝家の宝刀「困っている様子を見せる」の効果を最大化するためにも、PMとしては普段から誠意のある対応をしておくことが肝心です。ある意味「恩を売っておく」というやつですね。
相手のためになることをする
3つ目が、相手のためになることをすることです。
先程の「恩を売っておく」を「普段から」ではなく、もっと局所的に行うパターンです。いわゆる「ギブアンドテイク」ですね。こちらから先にギブをすることによって、相手のテイクを引き出します。
こんなエピソードがあります。
調達部という部署は、「相手の見積もりに対して値下げ交渉を行う」というのが業務の一環としてあります。A社の600万円の見積に対して、B社の調達部が「少しでいいので値引きしてくれ」と言い、A社が1万円値引きして599万円で再提出するとB社の調達部がOKしたそうです。
「なんだそりゃ」と思うかもしれませんが、相手がOKする理由を用意してあげるというのも、立派なギブの一種と言えます。
感情的な部分なのか、ビジネス的な部分なのか、相手がOKしてくれないボトルネックを「聞き出す」あるいは「察して」用意してあげる。「お膳立て」とも言えるかと思いますね。
あとでお返しをする約束をする
4つ目が、あとでお返しをする約束をすることです。
これもギブアンドテイクなのでほぼ「相手のためになることをする」と同じですね。実際には使い分ける意識は不要ですが、順番が違うので一応区別しておきます。
ライトなやつだと、こういうやつです。
主人公「引き受けてやる。ただし…」 相手「ただし?」 主人公「今日の晩飯おごってくれ」←こういうの好き
「クレジットカード」も、「あとでお返しをする約束をする」の例ですね。信頼関係によって、決済代行会社に先払いをしてもらっている仕組みなので。
そして、なんといっても「あとでお返しをする約束をする」の超代表例が「契約」です。「約束通り業務を遂行してくれたらお金を払うよ」という”約束”に法的な効力を乗せたものが「契約」だからです。
「相手を動かす」ために”約束”をするというのも常套手段ですが、約束を破ったらトラブルになるというのも忘れないようにしましょう。
人の協力を経てミッションの成功を目指す
いかがでしたでしょうか。
うまく“人を転がせる人”がどうやって「人を動かせて」いるのかをあえて言語化してみましたが、おそらく実際にはこんなことはいちいち考えていません。
「どうやったら相手が動いてくれるだろうか」と真剣に考えた結果、このようなアクションになり、自然とテクニックとして身についているのでしょう。
相手のためなのか単なる利害関係なのか。プロジェクトにおいてその境界線はあってないようなものですが、忘れてはいけないのがPMのミッションです。「お客様に迷惑をかけないこと」「QCDを守ること」。
そのために「人を動かす」必要があり、その手段が今回紹介した言葉で説明できる。それだけなのです。
それでは。
チャイフ