デール・カーネギー『人を動かす』ピックアップ(2/2)

デール・カーネギーの書籍『人を動かす』を読んだので、書評を書きます。実際にはAudibleで”聴いた”なんですけど、まぁ”読んだ”と表現しておきます。笑

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Audible : https://www.audible.co.jp/pd/B091BRS4LQ

前編はこちら

デール・カーネギー『人を動かす』ピックアップ(1/2)

2022.10.08

では、後編です。

それでは!

「人を動かす」テクニック紹介

前編のおさらいとして、「相手の自尊心を傷つけない、相手の自尊心を満たしてやる」が重要だ、という話がありました。

前編では「相手の自尊心を傷つけない」が主体でしたが、後編では「相手の自尊心を満たしてやる」テクニックが多めです。

褒める、人前でも褒める、どんな人でも褒められたら嬉しい

まず「褒める」「人前でも褒める」。

相手を褒めまくることです。結果が悪くとも、やろうとした誠意を褒める。努力を褒める。全体としては失敗していても、うまくいった部分を取り出して褒める。もちろん表面的なお世辞はすぐにバレますが、心からの褒め言葉は相手に伝わるものです。

僕は「褒める」ことが苦手なのですが、「褒める」も技術であり、練習次第で上手くなっていくものだな、ということも同時に感じています。

また、「どんな人でも褒められたら嬉しい」ということも覚えておくといいと思います。特に、目上の人に対して「褒める」というのは、気が引けてやりづらいと思う人は少なくないと思います。しかし、どれだけ地位がある人、お金を持っている人、能力が高い人でも、「褒められる」のは嬉しいものなのです。

褒めると言っても、「よくやった」と評価する言い方ではなく、「あなたのこういうところがすごいと思います」「素敵だと思います」と感想を伝える言い方なら、伝えやすいし、相手にも伝わりやすいのではないかと思いますね。

相手に、自分のアイディアだと思わせる

続いて、「相手に、自分のアイディアだと思わせる」というテクニックも印象に残っています。本書の中ではかなり難しいテクニックですが、使いこなせるようになれば確かに強力だな、と思います。

人は、自分で思いついたアイディアが採用されたら嬉しく思いますし、何より自分のアイディアに反対などするはずがないので、何かを推進させたいときにはとても有効な方法と言えます。

ただ「どうやって」の部分が難しいですね。本書で紹介されていたのは「さりげなく相手に伝えて、相手がそれを自分のアイディアかのように話してきたときに、それに賛成してあげる」ということだが、僕は「そんな簡単にいくか…?笑」とは思いました。

とはいえ、自分が進めたいアイディアを相手が自分のアイディアかのように話してきた場合に、「それはもともと私のアイディアです」と咎めない、というのが重要かつなかなかできないことなので、覚えておくとよいなと思います。

※ もちろんケースバイケースで、「特許侵害」みたいな話になってきたらしっかり自分の権利を主張した方がいいです。ただ、「その場で自分が相手より優位に立つ」ことよりも、「相手に花を持たせて、進めたい方向に進めさせる」方が有益である場合もある、ということですね。

相手を立てる、勝ちを譲る、議論をしない、議論は何も産まない、議論では勝てない

前編の「相手の体面を保つ」などに通じる話です。

「議論では勝てない」がどういうことかというと、議論で相手に負けるとそのまま負けだし、もし相手を打ち負かしたとしても、その勝利は本質的に何も産み出さないので、結局負け、という意味です。要は、議論をすること自体が無駄だ、ということですね。

ここも1つ注釈をしておくと、自分の意見をただ通すための議論が無駄だ、という意味で書かれているのだと思います。客観的に明確な正解があって、お互いがその正解を目指して意見交換をするような建設的な議論は有益です。一方、ただ「価値観が異なるから意見が異なっている」場合の、いわば”平行線”、”水掛け論”のような場合に、それを続けたりゴリ押しで意見を通すようなことは何の生産性もない、ということです。

そして、日常のコミュニケーションの中で自然と発生する類の議論は、おそらく後者が多いです。人の価値観はそれぞれ異なっているので、自然なことです。なので、そんな場合は「相手を立てる」「勝ちを譲る」ということを覚えておくといいのです。「この場のこの議論で相手を打ち負かす」ことは忘れて、「君の言う通りだ」「そうかもしれない」と折れておくのです。そうすることで、相手の自尊心は満たされるので、その後のあなたの話にも耳を傾けてくれるようになるでしょう。

ひたすら話を聞く、共感を示す

ここから少し毛色が変わりますが、「ひたすら話を聞く」「共感を示す」です。

これは、相手がクレームを言ってきた時などに有効なテクニックであり、頭ではわかってはいても多くの人ができていないテクニックです。

本書で紹介されていた実例では、クレーマーの話を3時間ひたすら聴き続け、ひたすら「共感を示し」続けた営業担当の話がありました。共感を示すためのマジックフレーズがありました。「もし私があなたの立場なら、あなたと同じことを思うでしょう」と言うのです。僕たちはラフに「わかる」「それな」というフレーズを使うことがありますが、アレは何を言ってるかというと、「自分も、あなたの話の中で一部共通する経験をしたことがあるんですよ」です。つまり、一見共感しているようでいて、自分の立場でものを見ているんですね。

なので、「もし私があなたの立場なら」という前提が重要なのです。いわば精神的な位置関係として、正面に向き合って話しているのではなく、横に寄り添って話を聴いてあげているようなイメージです。

クレームを言ってくる多くの人の目的は、実は攻撃することではなく、自分が思っている不満や異議が「間違っていない」「確かにその通りだ」と理解して認めてほしいだけなのです。さらに言えば、自分の意見が正しいことを確かめたい、つまりは「自尊心を満たしたい」だけなのです。だからこそ、「ひたすら話を聞く」「共感を示す」ことで、相手の自尊心を満たしてやればいいのです。すると、いつの間にか相手の怒りが収まり、「わかってくれたならいいんだ」と、要求を取り下げてくれることも少なくないとのこと。

実際には、相手の罵声を辛抱強く聴き続ける忍耐が必要なので難しいことですが、これも覚えておくと、人間関係においても役に立つことは多そうですね。

「イエス」と答えたくなる質問をする

次は、自分の意見を相手に承認してほしいときに使えるテクニックです。

人は本質的に、自分の信念と行動を一貫させたいという欲求があります。最初の質問に対して「イエス」と答えると、相手の意見に対して歓迎的なスタンスに立つことになり、その後の質問にも「イエス」と答えやすくなります。逆に最初の質問に対して「ノー」と答えると、相手の意見に対して否定的なスタンスに立つことになり、その後の質問にも「ノー」と答えやすくなります。

これは、心理学用語で「一貫性の原理(一貫性の法則)」と呼ばれるものでもあり、実際に営業やマーケティングにおけるテクニックとしてもよく利用されています。

「粗悪品を買わせる」などの悪事にためにこのテクニックを使うのは良くないですが、建設的な話なのに話の持っていき方が下手で伝わらない、というのはもったいないので、知っておいてもいいのかなと思いますね。

相手の誕生日を覚える、相手の名前を覚える

さらにビジネスから離れて、広い意味で相手の心を掴むためのテクニック、「相手の誕生日を覚える」「相手の名前を覚える」です。

名前のつづりや漢字を間違えない、というのも非常に重要です。

僕はこれらがめちゃくちゃ苦手なので、耳が痛かったです。笑

誰しも、自分の誕生日、自分の名前にはアイデンティティを感じていますし、愛着があるはずです。「同じ誕生日や同姓同名もいる」みたいな細かい話は置いておいて、基本的にこれらは「自分だけが持っているもの」ですよね。そりゃ愛着も湧きます。

だからこそ、「誕生日や名前を正しく覚えてもらっている」のはとても嬉しく感じますし、逆にいえば、相手の誕生日や名前を正しく覚えるだけで、相手の心をかなり掴むことができます。人間関係をうまくやりたいなら、相手の誕生日や名前を覚えようとする努力は惜しむべきではない、ですよね。

例えば、名前を聞いたら「◯◯さん」と呼んでみるとか。メモを取るとか。脳内で反芻するとか。誕生日の場合、その日付について少し話してみるとか。カレンダーに書いてしまうとか。これは僕自身も意識してみようと思います。

家庭円満:褒め合う、花を贈る

最後に、家庭円満の秘訣の一部を紹介しておきます。

「褒め合う」「花を贈る」です。

「花を贈る」については、毎日贈らなくてもいいが「まぁ1回やってみ?」ってカーネギーさんが言ってました。笑

「何も特別な日を選ばなくてもいいのだ」「大してお金がかかるわけでもない、帰りに花屋に寄ってみな」って。

また、「褒め合う」も「どんな人でも褒められたら嬉しい」の応用ですね。他の人間関係と比較して圧倒的に長い時間を共に過ごす家族に対しては、いろんなことが当たり前になってしまい、どうしても「褒める」ということを忘れてしまいがちです。だからこそ、家族に対しては意識して「褒め合う」が重要になってくる、とのことです。

これはもはや疑う余地はないので、これ以上は言いません。

1つだけでもいいから意識してみる

いかがでしたでしょうか。

「アァ、これは大事だと知っているけどできてないわ!」というものはあったでしょうか?もしあったなら、その1つだけでもいいので、日々の生活の中で意識してみると良いと思います。

「テクニック」と聞くと、何かズルいことをしているようで素直に取り入れられない人もいるかもしれませんが、こんな言葉がありますね。

心が変われば行動が変わる

行動が変われば習慣が変わる

習慣が変われば人格が変わる

人格が変われば運命が変わる

心理学者、哲学者のウィリアム・ジェイムズの言葉です。何が言いたいかというと、行動のあとに人格がついてくる、ってことです。騙されたと思って「ちょっとやってみようかな」とさえ思ってくれれば、行動しているうちに自分の習慣が変わり、いつの間にか人格が変わっていきます。

僕は「相手の誕生日を覚える」「褒める」から実践してみようと思います。

あなたは、どれを実践しますか?

それでは。

チャイフ

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