参加公演数が70を超えたのでリアル脱出ゲームのコツをまとめた

こんにちは、チャイフ(@chaif123)です。

2018年からリアル脱出ゲームに行き続けているうちに、なんだかんだ参加公演数が70を超えた。僕よりもハイペースで行っている友人はとっくに100公演を超えていたりしますが、まぁそれは多寡ではないので置いておいて。

リアル脱出ゲームのコツをまとめてみた。SCRAP側もいろんなトリックや仕掛けでこちらの予想をどんどん上回っていくからなかなか「これをやればいける」という必勝法めいたことは言えない。とはいえ、「やっておいて損はない」ということはけっこう言語化できる気がしたので、書いてみた。

特定の公演に対するネタバレはご法度なのでもちろんしていないが、抽象化しているとはいえありがちなパターンを書いているため、かなりヒントになるのは間違いないと思う。過去に何度かリアル脱出ゲームに参加している人で「成功率を上げたい!」という場合にはぜひ読んでほしいが、経験値ゼロの状態で本当の意味で「ひらめき」をしたい人は、読まない方がいいのかもしれない。そこはお任せしたい。

それでは!

リアル脱出ゲームとは?

リアル脱出ゲーム

マンションの一室や野球場や学校、廃病院、そして地下鉄や六本木ヒルズなど様々な場所を舞台に、謎を解いてそこから「脱出」することを目的とした体験型ゲーム・イベントです。(by SCRAP公式

『リアル脱出ゲーム』という名前を、やったことがなくても、「なんか閉じ込められて、謎解きして脱出するやつ」って感じで、名前くらいは聞いたことがあるひとは多いのではないだろうか。

『リアル脱出ゲーム』は商標登録されている

実は、『リアル脱出ゲーム』という名称は株式会社SCRAPが商標登録を取得している、体感型イベントサービスの名称である。なので、同じようなコンセプトの違うイベントを開催したとしても、『脱出ゲーム』『リアル謎解きゲーム』などの、微妙に違う名称しか使うことはできない。

公演には大きく4つの形式がある

リアル脱出ゲームと一言で言っても、形式が大きく分けて4つある。

リアル脱出ゲームの形式
  1. ルーム型
  2. アジト型/zepp型
  3. フィールド型
  4. 街歩き型

ルーム型は、実際にビルの一室に閉じ込められて、物理的に部屋から脱出することが公演の目的になっている。合計10人で挑戦するものがほとんどで、「リアル脱出ゲーム」と聞いて最もイメージしやすい形式かもしれない。謎の部屋からの脱出アンドロイド工場からの脱出などがある。

アジト型は、広めの部屋にチームごとのテーブルがあり、公演の目的に対して各チームがそれぞれでナゾを解き、脱出を目指す。1チームは4人か6人が多く、10〜20チームが一斉にスタートするもので、50〜100人ほどが同時進行的にゲームを進めることになる。目的は、世界の滅亡を救うことだったり、設定上の人を救うことだったり、様々です。最終兵器工場からの脱出謎特異点Ⅱピラミッドからの脱出などがある。

Zepp型は、ライブハウスをまるごと使って行う公演となっている。構成は基本的にはアジト型と同じく各チームで進めるもので、これも4人や6人でチームを組むものが多い。

フィールド型は、東京ドーム・水族館・遊園地などの広大な場所を使って、探索しながら謎を解いていくものになります。走り回ったりすることもあり、上の2つとはかなり違った楽しみ方ができると思う。夜の巨大監獄からの脱出などがそれにあたる。

街歩き型は、謎解きキットとペンを持って、実際の街を歩きながら謎を解いていくゲームである。公演によっては、実際に街中にあるコインロッカーのカギを開けて手がかりを見つけるなど、意外とアクション要素もあって面白い。下北沢謎解き街歩きゲームなどがある。

上記のルーム型・アジト型・フィールド型はその全てに制限時間があり、60分(公演の規模によっては、一部30分や15分などもある)以内にゴールしなければならないが、街歩き型は制限時間がない。上記の3つは参加者を回さないといけないが、街歩き型は開始時間が参加者によってバラバラだからである。制限時間がないぶん、休憩しながらマイペースにゲームを進めることができる一方で、少しスリリングさに欠けるかもしれない。

毎回のイベントが「公演」と呼ばれる理由

毎回のイベントは「公演」とも呼ばれる。では、「公演」と呼ばれる理由はなんだろうか?ちなみに「公演」の辞書的な意味は以下の通り。

公演

[名](スル)演劇・演芸・舞踊・音楽などを、公開の場で演じること。(by Goo辞書

リアル脱出ゲームは、ただ無機質に謎を解くだけではなく、全体で1つのストーリーになっている。制作はSCRAPで行っているが、中にはその一部を外注することで世界観をガチで作りにきている公演もある。

いわば、ストーリー・世界観にどっぷり浸かることのできる高い「没入感」が、リアル脱出ゲームの大きな魅力の一つになっているのだ。また、公演によってはガチの演劇出身の人を招いているものなどもあり、価値が高いものになっている。

ネタバレ禁止

ストーリーを楽しむという側面はあるものの、基本的には「謎解き」である。したがって、ほとんどの公演は二度目の参加は禁止されている。

また、当然ネタバレも禁止されている。今回の記事も脱出成功のための方法論を話していくが、具体的な内容にはなるべく触れないようにしたいと思う。

コツ1:ゲーム開始前に違和感をキャッチし、インプットする

まず、ゲーム開始前からできることが山ほどある。「ゲーム開始」とは、司会者が「ゲーム開始だ!」とかを言って60分のカウントダウンが始まる瞬間を指す。

机で読まされる説明文から勝負は始まっている(ホール型)

これは、ホール型の公演に関しての注意だ。ルーム型の公演では、部屋に入れられてから大した情報を拾えないまま公演がスタートすることが多い。そのため、ルーム型の公演の方が事前にできることは少なく、よりアドリブ力が求められると言えるかもしれない。

ホール型の公演に関しての注意
  • ネームプレートにも注意を払え
  • トイレは行っとけ
  • 机で読まされる説明文は3周読め
  • 会場と説明文の違和感について話し合っとけ
  • 会場には20分前には着いとけ

あとでも出てくるが、謎解きのロジックは公演内の情報のみで構築される。逆に言えば、公演内の情報なら全てが謎解きのロジックになりうる、ということだ。全てとは全てだ。

入場時に渡されるネームプレート。

入場時に渡される説明用紙。

紙自体。

紙に書いてある情報。

机に置いてある全てのもの。

イス。

机の裏。

会場にある全てのもの。

会場で鳴っているBGM。

モニターに映されている映像。

全てだ。

机で読まされる説明文は3周読んだ方がいい。まぁ1周でもいいんだけど、要は読み込んでほしいということだ。そして、気づいた違和感についてチームメンバーと雑談をしながら開始を待っているのがよい。そしてそのために、会場には開始予定の20分前には着いて、15分前には入場しておくことをおすすめする。

司会者による導入の説明からも勝負は始まっている(ホール型/ルーム型)

司会者による導入の説明もそうだ。表面上はルール説明や諸注意なのだが、しれっと謎解きのロジックが話されていたりする

司会者による導入の説明に対する注意
  • まず、ちゃんと聞こう
  • 自分たちはどこにいるのか?
  • 自分たちはどのような役職なのか?

「あなたたちは、XXという役割で、ここYYにやってきたのだ!」みたいな設定を話してくれたりもする。公演によってはただのフレーバーであることもあれば、公演によってはあとでめちゃくちゃ重要なキーになってきたりする。油断は禁物である。

禁止事項の裏をつけ(ホール型/ルーム型)

先ほど「表面上はルール説明や諸注意」と言ったが、諸注意のところですらヒントが隠されている。これはある程度は公演参加の経験値が必要だったりするが、要は「禁止されていないことは何をしてもいい」ということになる。

禁止事項の裏をつけ

  • 「ものを押すな」と言われていなければものを押していい
  • 「ものを分解するな」と言われていなければものを分解していい
  • 「ものを持ち上げるな」と言われていなければものを持ち上げていい
  • ストップマークがついてなければ触っていい
  • スタッフに止められなければ何をしてもいい

ホール型でもそうだが、得に探索など物理的な工夫やひらめきが求められるルーム型でこそ気をつけたい。

脱出条件は3回音読しろ

脱出条件は「司会者の説明」の中でも最も意識をすべきポイントだ。この脱出条件に大きなヒントが隠されていることが多い。というより、脱出条件という名の謎だと思った方がいい。

学校や受験で出される国語の問題のようなもので、「〜ということ、で答えろ」と言われたら、文字通りそれに従うべきなのだ。

例えば、「誰も犠牲にせず脱出しろ」が脱出条件だった場合、「ストーリーの中では敵に含まれる存在」をも犠牲にしてはならない。また、「ストーリーの中ではあえて強調されないが普通に考えたら存在する市民のような存在」をも、その範囲に入ってくる。

あるいは、「◯◯の方法を突き止めろ」が脱出条件だった場合、 実際に脱出する必要はなくて、ただ方法を導き出すだけでいいのかもしれない。こう言った場合は、ストーリーのミスリードに乗らない意識が必要になる。

ここまででキャッチした情報は脳内でチェックリストのように箇条書きのイメージでインプットしておく。そして、後半で詰まったときに脳内チェックリストを見返すのだ。

閑話休題:出題者の気持ちになる

コツだけを知りたい人はは読み飛ばしてもいい。

SCRAPの制作するリアル脱出ゲームは本当に品質が高いので、「ただ言われるがまま謎を解いていって、気がついたら脱出成功してました」ということは絶対にあり得ない。絶対にだ。ひと捻りもふた捻りもされている。にもかかわらず、解説を聞いた時には「あ〜!それを使うのか!!」と悔しくなる。そう作られている。

逆に、リアル脱出ゲームを作る側の気持ちになってみてほしい。めちゃくちゃ難解で入り組んだ公演を作りつつ、最後に謎の解説をしたときに、参加者に「あ〜!それを使うのか!!」と悔しがらせることを狙いたいわけだ。

そこで、制作者側にはいくつかの縛りがあるんじゃないかと考えた。これを、ミステリーにおけるルール「ノックスの十戒」になぞらえて説明する。

第8戒 : 謎解きのロジックは公演内の情報のみで構築される

1つ目は、「ノックスの十戒」の第8戒のようなものである。

探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。(「ノックスの十戒」/第8戒)

リアル脱出ゲームに置き換えると、謎解きのロジックは公演内の情報のみで構築される、ということ。さらに言い換えると、公演内で「説明してないこと」は、謎解きのロジックに組み込まれないのだ。解説を聞いても「え?そんなの聞いてないぞ?」となって、参加者の満足度が下がってしまうからだ。それはファンを減らす行為であり、制作者側は絶対にしない。

同様に、「ちょろっとしか言ってないこと」も謎解きのロジックに組み込まれない。スタッフが「実は言ってたんですよ」と得意げに言っても、結局参加者の納得感につながらなければ、やはり参加者の満足度が下がる。

かといって、わかりやすくヒントを与えると、みんな脱出できてしまい、次にリベンジしたいという「悔しさ」を引き出せない。

ではどうするか?ここが重要だ、よく聞いてほしい。

制作者は、違和感のないように、不自然さのないように、ヒントを散りばめるのだ。具体的に言えば、参加者である僕たちが油断をするところ、聞いていてスルーしてしまうように組み込む。では問題は、僕たちはどんな時に油断をするかだ。

まず、僕たちは「謎を解いた時」に油断するつまり、大謎に行くまでの過程としていくつかの謎を解かされるが、そのときに「それは済んだもの」として脳内から抜け落ちていく。「やった」と思うのだ。そこが罠だ。なので対策として、解いた謎の過程と結果を全て意識した状態で次に進むことが必要になる。

また、僕たちは「笑った時」に油断するつまり、ストーリーの中での面白い場面、盛り上がる場面、一見ネタに見える場面など、全て伏線と思ったほうがいい。そんなギラギラした目つきでは楽しめないのでは?と思われるかもしれないが、笑うところは素直に笑ったらいい。対策として、ひとしきり笑った後に「さっきのやつ、意味あるかもしれないから注意ね」とチームメンバーに軽く情報共有しておけばいい。真顔で。

第6戒 : 偶然では脱出できない

2つ目は、「ノックスの十戒」の第6戒のようなものである。

探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない。(「ノックスの十戒」/第6戒)

リアル脱出ゲームに置き換えると、偶然では脱出できない、ということである。ルーム型の公演では、だいぶ前から「最後の謎がダイヤル錠(4ケタなどの数字で開く錠前)」であることはほぼなくなった気がする。またホール型の公演では、何かを書いて提出することが多いが、見えている選択肢が正解であることはほぼない。

途中の小謎や中謎でのパワープレイはある。パワープレイとは、当てずっぽうとか総当たりを使う解法のことで、「クロスワードパズルの問題は全て解けていないが、最後に出てくる答えだけはわかる」とか「ダイヤル錠の2ケタだけわかった状態でのこり2ケタは総当たりで開けられた」とかのことだ。ありうるし、プレイヤーとしてそれでいい。パワープレイも時には有効な手段だ。脱出できたらそれでいいのだ。

しかし、大謎に鍵ってはパワープレイや偶然はないと思った方がいい。その発想になるくらいなら、脳内のチェックリストを思い返したり書かれている文章を何度も何度も音読する方が、よほど建設的である。

第3戒 : (基本的に)解は1つ

3つ目は、「ノックスの十戒」の第3戒のようなものである。

犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない。(「ノックスの十戒」/第3戒)

基本的に大謎の解は1つ、ということだ。時折別解が存在する公演もあるが、稀である。第6戒のように「偶然で脱出できてしまった」を避けるために、制作者側もありとあらゆる可能性を探る。変に別解があるように制作するより、別解がないように制作する方がたぶん簡単だと思う。

コツ2:ゲーム開始後に無駄なことはさせない

さて、制作者がどんな工夫をして公演を制作しているかを少し考えてみたところで、コツの話に戻ろう。

SCRAPは僕たちに無駄なことをさせない。実際にリアル脱出ゲームが開始してからも、その一見無駄に思える、あるいは表面上の意味しかないと思える情報に対して「違和感を持つ」ことが重要になってくる。そしてそのために、僕が普段の公演の中でやっていてよかったことを紹介する。

ゲーム開始後におすすめのムーブ・意識
  • ツッコミを入れろ
    • 「今のいる〜〜〜〜??↑↑」
  • させられたことは全て伏線と思え
    • 意味もなく部屋を通されるわけがない
  • 追加情報は音読しろ
    • 黙読では情報を読み落とす

「違和感を持つ」というのは、大謎に使われるかもしれない要素をピックアップして、情報に重みをつける行為だ。

リアル脱出ゲームとは、いわば「持ち込み可だが試験範囲がめちゃくちゃ広いテスト」みたいなものなのだ。そして上記の3つの行為は、テストに持ち込む参考書でテストに出そうな箇所にマーカーを引くような行為だ。もしマーカーを引いていないと、調べる際に参考書を全て読み直す必要があり、時間が足りなくなる。最初に参考書を読んだタイミングで「後で使いそう」な箇所に効率良くマーカーを引いていくのだ。

「ノックスの十戒」の第8戒を思い出してほしい。謎解きのロジックは公演内の情報のみで構築される。公演自体を盛り上げ、楽しいものにするためのエッセンスが多く盛り込まれているが、大人気ない我々はそのたびに「今のいる〜〜〜〜??↑↑」とツッコミを入れればいい。

また、ゲームが進むごとに新たな説明用紙を渡されて新しい情報をゲットしたり、次の問題が出されたりするが、問題文は面倒くさがらずに音読した方がいい。黙読では、目が滑って情報を読み落とすリスクがあるからだ。あとで参考書をひっくり返すくらいなら、1回集中して音読し、目で見て耳で聞いて、擬似的にマーカーを引いておくのだ。

SCRAPはこちらの対策を超えてくる。だから面白い。

いくら対策を講じても、60分でひらめかなければ脱出失敗する。かなり上級者のような口ぶりで話してきたが、僕はどちらかといえば脱出率は高くない。それほどまでにSCRAPの制作する公演は品質が高い。これまでに何百公演とつくってきたはずなのに、次の新しい公演は常に斬新で面白く、こちらの期待を超えてくるものになっている。ある程度は謎のロジックの使い回しもあるのだろうが、全くそれを感じさせない作りになっている。

長々と脱出成功するための方法論を書いてきて手のひら返しもいいところなのだが、リアル脱出ゲームは楽しんでプレイすることが一番だと思っている。脱出成功するために躍起になったり、チーム内で仲間割れをするなどは最悪だ。とはいえ、「脱出成功したら嬉しいし楽しい」というのも間違いないと思っている。だからこそ、今回の記事を書いたというところもある。

今回紹介したコツや考え方の中で、これからのあなたのリアル脱出ゲームの成功の助けになったり、より楽しいものになる一助になるなら幸いだ。

チャイフ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です